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村松 海渡

出身大学
東京大学 工学部
所属
東京大学 工学部 計数工学科
参加期
7期生

インタビュー

両立という名の板挟みを抱えて

私は音楽のバックグラウンドを持ち、国内外で演奏活動をしながら大学では工学や脳神経科学を学んでいます。
音楽をする人間にとって、日々の鍛錬に終わりはなく、またそれは私にとっても例外ではありません。
その身体性(演奏時の体の使い方など)に的を絞っても、そこには主観的な経験則に閉じてしまうにはあまりに勿体無いと思わせる非常に奥深い世界があります。
その探求に際して科学の言葉こそが普遍性を持ち、またその知が音楽家に選択肢と自立をもたらすと考え、私は今音楽のために、科学を学んでいる訳です。

しかし、世間一般に見れば理解しづらく、また言い方を悪くすればどっちつかずとも取れるこの私の生き方は、自分でも頭では意味のあることであると確信しつつ、一方では双方に十分な時間を取れないと感じたり、周りとの立ち位置を比較するたびに不安に思うことを止められませんでした。

そのような板挟みの悩みを抱えながら臨んだゼミ。そこで自分のモヤモヤを突きつけたら、モヤモヤが500倍になって返ってきました。このことによって突き抜ける人材ゼミは僕にとって決定的な出来事になりました。つまり私は自分の活動を通じて音楽の世界への還元や貢献を目指す一方で、自分の考えを他者に伝える意思が足りていないことに気づかされたのでした。ゼミに参加してから1年半になりますが、未だにその時の薬効はしっかりと心に残り続けています。

二刀流として

例えば、ピアノでオクターブを演奏するとき、ピアニストは非常に直感的ではない身体の使い方をします。ここでは詳細を省きますが、エキスパートは鍵盤を押すために肩の関節を上腕の骨を持ち上げる方向に回すのです。(あなたが目の前の机を”チョップ”する時とは肩+上腕の動きが逆になるということです。) 私はこのような対象を工学やさらにこれから脳神経科学の視点から掘り下げてゆきます。ある筋肉を"使わないよう"な運動を学習していく際の小脳プルキンエ細胞や平行線維・登上線維の協調に始まり、人間のシステムレベルでの議論まで行いますが、これは音楽演奏に限らず、様々なエキスパートがどのようにして直感的でないスキルを獲得していくのかを解明することになります。そのような知見は魅力的な一方で、このままでは充分には音楽へ還元されません。同じ事実も科学者と音楽家とでは違うスコープを用い、そこから見えてくる魅力の性質も異なるからです。私は芸術音楽を"したことがある"ではなく、"し続け"ます。それこそが音楽の生きた文脈の中で、科学的営みによって得られた普遍的な知を還元することに直結すると信じているからです。私は左右どちらでも刀を振れることではなく、二刀流を目指しているのです。二刀流とは、"一つの"流派なのです。音楽と科学が有機的に結びつくことは、ただ音楽も科学も両方できる、という事とは全く性質の違うことと信じて、日々精進を続けています。

ある音楽家が楽譜からシューマンを紐解くように、私は音楽家として、音楽演奏における身体性を科学をツールに紐解きます。作曲における和声が、多くの作曲家に修められ、そしてコミュニケーションとして時に壊されていくように、演奏における科学知が普遍的な体系としてより多くの音楽家の自立を助け、そしてゆくゆくは芸術上の新しい言語の誕生に寄与していくことを見届けることが生涯の夢になっています。

村松 海渡 に関するお知らせ

突き抜ける人財ゼミ第7期生「村松海渡」さんの、卒業生へのインタビューを掲載しました。